信大医学部(松本市)は、イラクで増加している小児白血病の背景を探ろうと、現地の患者の血液標本を使った遺伝子解析を始めた。イラクの小児医療を支援している「日本イラク医療支援ネットワーク」(JIM−NET、事務局・東京)も協力。
遺伝子異常のデータを集め、地域や年齢による違いなどを調べる。
白血病増加には、湾岸戦争やイラク戦争で米英軍が使用した劣化ウラン弾の影響も指摘されており、因果関係の解明にもつなげたい考えだ。
解析は、信大大学院医学系研究科に4月から留学しているイラク人女性医師リカー・アルカザイルさん(40)が中心となる。リカーさんは「研究でイラクの平和に貢献したい」と話している。
血液標本は、イラクで小児白血病治療の拠点となっている北部の2病院、中部のバグダッドの2病院、南部の1病院で新たに白血病と診断された0〜14歳の患者から集める。
病院で採取した血液を濾紙(ろし)に染み込ませて血液標本を作り、航空便で送る。標本からDNAやRNA(リボ核酸)を抽出し、遺伝子異常の様子を調べる。
リカーさんは10月23日まで1カ月間、イラクに一時帰国した際、5病院を訪問。血液標本を日本に送るよう依頼し、濾紙を各病院に25〜50枚ずつ渡した。うち4病院から10枚を持ち帰り、遺伝子解析を進めている。
JIM−NETの現地スタッフが標本送付などを手伝い、構成団体の一つ、NPO法人日本チェルノブイリ連帯基金(JCF、事務局・松本市)も濾紙などの物品を提供する。JIM−NETの佐藤真紀事務局長(48)は「白血病の原因と治療方法を探り、子どもの命を助けたい」と話す。
研究は2年間の予定。イラクと比較するため、隣国ヨルダンの病院にも標本を送ってもらうよう、リカーさんが交渉中だ。
小児白血病が専門の小池健一・信大病院長(58)は「日本の白血病治療は世界でもトップクラス。遺伝子解析のノウハウを身に付け、帰国してから技術を広めてほしい」とも期待している。
2009/11/6 信濃毎日新聞
日本調剤 薬剤師生涯教育プログラム
薬剤師 インターネット研修ならJPLearning
【医師 甲信越の最新記事】

